秋の話。

髪を乾かして、そしてお揃いの服を着て。







柔らかに夜風の吹く、空気もまろやかな秋の予感。

お互いさっぱりと汗を流した風呂上り。ねえ甘えて甘えてと、そんな目でカカシが見るのでイルカはとりあえずカカシの膝に乗ってみた。
ふわりと香る石鹸の匂いは二人とも一緒で、それがなんだかくすぐったいくらいに嬉しい。 とても静かな夜だったので、そっと近づくと聞こえる相手の呼吸する息遣いとか、隣りの部屋の今にも切れそうな蛍光灯の出す(カカシは暗いのが好きではないから、とよく家中の電気をつけっぱなしにするのだ!)ぶーんと少し機械的な音だとか、部屋の隅の天井に近いあたりで薄らと埃をかぶった、この家が建てられた時から其処にあるのではないかと思わせるようなたいそう古めかしい壁掛け時計がゆっくり時を刻む音だとかが、耳をすませば一緒になって聞こえてきてそれから自分の心臓の鳴る音も、まとめて聞こえればけっこううるさいものだ、イルカはカカシがほんの少し寂しがりやなのを知っていたからせめてカカシの耳にもこの音が届きますように、そう思いながら首に腕を回してぎゅっと抱きついてみた。抱きつけばなんてことはないカカシの鼓動も、確かにしっかりと脈打ってイルカの耳にしっかりと聞こえたので、ああこれなら大丈夫、と身体を離そうとしたらカカシの腕がすかさずイルカの腰に回り、ねえ離れないでと低い声が囁く。なんとまあしょうもない淋しがりで甘ったれだなと苦笑しつつイルカがもう一度身体を寄せたら、今度はあなたの呼吸を聞かせてだなんて言い出してくる。イルカはくすくす笑いながらカカシの耳元にそっとキスをする、もっともっととねだられて、欲張り、とけらけら笑いながら耳を噛む。
カカシときたら本当に甘ったれだ。
ねえ今度はキスをここに、そんなことを言いながら大きく口を開けてカカシがイルカにねだる、なんだかそれがまるで餌を待つ雛鳥のようで、あんたホントに子供みたいだねってイルカはくつくつと笑いにしばし肩を震わせてから、たっぷり舌を絡ませる大人のキスをカカシにしてあげたのだった。







2007.09.02
カカシは絶対に甘ったれだと思う。